開発ストーリー2026年3月9日·5分で読める

全部見せたらダメ?!介護アプリで「見せない工夫」にこだわった理由

全部見せたらダメ?!介護アプリで「見せない工夫」にこだわった理由
#介護アプリ#情報共有#介護記録アプリをチーム導入する際「全員に全て見せる」は逆効果?itに不慣れなヘルパーさんが拒絶反応を起こさないよう#あえて機能を隠すロール制御を実装しました#休むスタッフに「ゆっくり休んでね」と心から言える環境を目指す開発の裏側

こんにちは、えーちゃんです。

僕はコードは1行も書けないんですが、「何を作るか」「なぜ作るか」を決めるのが自分の仕事だと思っています。1人の構想とAIという圧倒的な実行力を頼りに、現場の声を拾って「こうあるべき姿」を設計する。

余計な工程を省き、思考と実装を直結させながら、目の前の課題を一つずつ過去のものにしていく。そんなスタイルで、介護記録AI支援アプリ「Lily∞Care」をはじめとするLily∞シリーズを1人で企画・設計・運営しています。

僕は介護業界は未経験です。でも、外から見ているからこそ気づく違和感や「もっとこうなればいいのに」という思いを、ダイレクトに形にできるのが個人開発の強みでもあります。今回は、アプリをチーム向けにアップデートした際の実装の裏側と、そこに込めた思いをお話しします。

全員にすべてを見せるのが「良い情報共有」ではない?

介護現場で使うアプリを育てていく中で、今回は「個人で使うもの」から「事業所みんなで使うもの」へ、アプリの基盤を大きく作り直しました。

技術的な話を少しだけすると、データベースの構造を個人単位から「組織(事業所)単位」に全面移行し、ユーザーごとに4段階のロール(開発者・管理者・サ責・ヘルパー)を設けて権限を分ける仕組みを実装しました。

チームで同じツールを使うとなると、「これからは全員で全ての記録を見られるようにして、情報共有をスムーズにしよう!」と考えがちです。でも、僕は今回その逆をいきました。

こだわったのは、「皆で見られるようにする」ことよりも、「必要な人に、必要な分だけ機能を見せる」ということだったんです。

ヘルパーさんには「2つだけ」見せればいい

訪問介護事業所の中で、一番人数が多いのは現場を走り回っているヘルパーさんたちです。 でも、中には長年現場を支えてきたベテランの方や、そもそもITに疎くてスマートフォンやタブレット端末に触るのすら抵抗がある、という方も少なくありません。

そんな方に、アプリを開いた瞬間「ダッシュボード」「利用者一覧」「組織管理」なんていうサイドバーのメニューがずらっと並んでいたらどうでしょう。たぶん、強い拒絶反応を起こしてしまいますよね。「どこを押せばいいの?」「間違えて消しちゃったらどうしよう」と不安にさせてしまいます。

ヘルパーさんが仕事の中で実際に触る項目は、実はとても少ないんです。本来、「指示書の内容を確認するページ」と「報告書を入力するページ」、この2つだけ見られれば現場の仕事は完結します。

だから、Lily∞Careでは思い切って、ヘルパーさんの画面にはこの2つだけを表示させるようにしました。サイドバーにある他の機能は一切見せません。ダメなんです、見せちゃ。

同じように、サービス提供責任者(サ責)さんにも「組織のメンバー管理」のような経営・管理者向けのページは必要ないので隠しています。

それぞれに必要なものを必要な分だけ表示する。そうすることで、現場の迷いがなくなります。そして「不必要にいじられてデータがおかしくなったらどうしよう」という経営者さんの不安もスッキリなくなるんです。

「ゆっくり休んでね」と心から言える職場へ

組織単位でデータを管理し、適切な権限で情報を共有できるようにしたのには、もう一つ大きな理由があります。それは「お互いが協力し合える職場環境」を作ることです。

サ責さんが2人以上いる事業所で、もし一人が体調を崩してお休みしてしまったとします。ただでさえ普段の書類業務とヘルパー業務に追われて忙しいのに、情報がその人にしか分からない状態(属人化)になっていたらどうなるか。休まれた上にその人の仕事まで回ってきた日には、もう目も当てられませんよね。

でも、Lily∞Careで適切にデータが共有されていれば、もう一人のサ責さんが確認して、すぐに現場のヘルパーさんに指示が出せます。そこに「担当じゃないから分からない」という壁を作る必要は絶対にないんです。

ツールが間に入って現場を手伝ってくれることで、「あの人が休んだら仕事どうしよう……」という心配をせずに済む。だからこそ、休むスタッフに対して心から「ゆっくり休んで、早く風邪治してね」って優しい言葉をかけてあげられる。

そんなステキな環境を作る手助けができたら最高だなと思っています。

思考と実装を直結させる

僕はコードが書けませんが、AIと壁打ちしながら「現場の人が迷わないように、こういう体験を作りたい」と伝えると、AIがデータベースのセキュリティルールや、サイドバーの出し分けの仕組みを書いてくれます。

今回も、AI(Claude)と一緒にAPIの認証ルートを整備したり、招待のフローを作ったりと、システムの大規模な改修を行いました。

「IT化」や「DX」ってなんだか難しくて冷たい言葉に聞こえますが、要は現場の人たちが少しでも優しい気持ちで働けるようになるための道具なんですよね。機能は多ければいいというものではなく、あえて「見せない工夫」をすることが優しさになることもあります。

これからも、目の前の課題を一つずつ過去のものにしていくために、思考と実装を直結させてLily∞Careを育てていきます。

Written by

えーちゃん

えーちゃん

SimpleFast株式会社 代表 / プロダクトデザイナー

コードは1行も書けないが、「何を作るか」「なぜ作るか」を 決めるのが自分の仕事。1人の構想とAIという実行力で、現場の声を拾い「こうあるべ き姿」を設計する。余計な工程を省き、思考と実装を直結させながら、目の前の課題を 一つずつ過去のものにしていく。Lily∞シリーズを1人で企画・設計・運営中!