開発ストーリー2026年3月6日·4分で読める

書類の間違い探しは限界?!AIでサ責の「超人力」を解放する

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はじめに:現場の声を「こうあるべき姿」へ。

はじめまして! コードは1行も書けないが、「何を作るか」「なぜ作るか」を決めるのが自分の仕事。1人の構想とAIという実行力で、現場の声を拾い「こうあるべき姿」を設計する。余計な工程を省き、思考と実装を直結させながら、目の前の課題を一つずつ過去のものにしていく。Lily∞シリーズを1人で企画・設計・運営中!えーちゃんです。

私は介護業界の未経験者です。だからこそ、現場の方からお話を聞くたびに「なぜこんな大変なことを人力でやっているのか」と驚かされることが多々あります。今回は、サービス提供責任者(サ責)さんを日々疲弊させている「あの」書類作業について、どうにかしてラクにできないかと立ち向かった記録です。

「正直こんなのいらねーじゃん」という心の叫び

サ責さんの1日は過酷です。書類作成の仕事だけではなく、ヘルパーの業務もこなさなければなりません。 現場を回り、へとへとになって事務所に帰り着く。すると、ケアマネさんから「ケアプランの修正」が届いているのです。

そこから何が始まるかというと、新しいものと古いものを見比べて、「どこが違うのか」「どこが変わったのか」を調べる作業です。以前自分が作った指示書と、一から全部見直さなければなりません。

これが大きな変更ならまだわかります。しかし、「福祉用具で新しく杖を借りた」といった、すんごい些細な変更すら送られてくるわけです。思わず「正直こんなのいらねーじゃん」と心の叫びが漏れてしまうのも無理はありません。

いらないと言ったらおかしいのはわかっています。利用者さんが杖を新しく借りて使うようになったなら、「外出する時はそれを使いなさい」という指示を出すためにケアプランを修正することは、間違いなく必要なことです。

しかし、このこまごまとした修正が、サ責さんにとってはたまらないストレスになっています。泥臭く紙の書類を並べたり、パソコン上でPDFを見比べながらやるしかない。それはもう「超人力」であり、完全な「アナログ」です。こんなの、やってられません。

目を見開いて一字一句確認するのはもうやめる

この超人力による「間違い探し」を終わらせるため、私はAIを使って新旧の差分を自動で抽出する仕組みを作りました。

このAIを使えば、一から新旧のケアプランを読み込んで、前回自分が作った指示書を見て……なんて泥臭いことをする必要は一切なくなります。AIがサ責さんの「目」となり「脳」の代わりとなって、差分を読み取ってくれます。

ケアプラン同士を比較したとき、変更があった箇所、削除された箇所、追加された箇所を見極めます。そして、以前作った指示書のどこが削除・追加されるのかが「一発でわかる」ようにしました。

どうやったかというと、情報を全てタグで管理する仕組みにしたのです。「ケアプランのこれが追加されたから、指示書の中のこの複数の項目が追加されました」ということが一目でわかります。

今回のPoC(概念実証)では、強力な相棒であるAI(Claude)と一緒にプロンプトを設計しました。 ケアプランから指示書へ翻訳する translate.md、新旧の差分をピンポイントで検出する diff.md、そして個人情報を守る masking.md。思考と実装を直結させ、これらをテンプレートとして組み上げていきました。

もちろんAIは完璧ではないので、最終的な確認は必要です。ただ、目を見開いて一字一句確認するような作業からは確実に解放されます。

サ責へのランクアップを「罰ゲーム」にしないために

これがあるおかげで、残業は少なくなって、休日出勤だってなくなるはずです。働ける時間の枠が決まっているからこれ以上タイムカードがつけられない、サービス残業するしかない……なんてこともなくなります。スマートにすべての作業が終わるのです。

介護業界は、他と比べてDX(デジタルトランスフォーメーション)があまりにも遅れています。その結果、書類作業が大変すぎて「ヘルパーからサ責にランクアップしたい」と望む人が少なくなってしまっています。忙殺されて離職する理由にも直結しているのです。

キャリアアップが罰ゲームのようになる現状は、絶対に変えなければなりません。私自身、この仕組みは現場を救う非常に有用なアプリケーションだと、開発者ながら自負しています。

専門知識もプログラミングのスキルもない私ですが、だからこそ業界の「当たり前」に縛られず、AIという実行力を使って目の前の課題を過去のものにしていきます。

Written by

磯部英司

磯部英司

SimpleFast株式会社 代表 / プロダクトデザイナー

介護業界のDXを推進するプロダクトデザイナー。現場の声を大切にしながら、テクノロジーで介護の「書く苦痛」を解消することを目指しています。